幌加温泉 鹿の谷
2012.12.08 宿泊




以前に日帰り入浴した鹿の谷に宿泊してきました。
温泉・湯船等については前回記事参照
http://onsen.weblog.to/archives/18020031.html

ここは女将さん1人で切り盛りしている素泊まり専用の宿屋。
女将さんは耳が遠くなっており、電話を取ってもほとんど聞こえません。
宿泊予約の電話を入れた際、
「すみません、耳が遠いもので聞こえないんです。明日の昼間なら誰かいるのでまた掛け直してくださいー。」
とのこと。
翌日電話を掛け直したところ、従業員の叔母様らしき人が電話に出る。

温泉女 「こんにちは~ 宿泊予約したいのですが~」
おばさま 「はいはいー」
温泉女 「予約いいですか~?」
おばさま 「あ、ここの人じゃないんだけど~ 泊まりかい?」
温泉女 「はい、12月8日に1泊なんですけど~」

・・・ おばさま、奥の女将に大声で予約入れていいか聞く・・・

おばさま 「大丈夫みたいだよー 何人?」
温泉女 「2名1部屋でお願いします」

・・・ 奥にまた伝えて、夫婦かどうか女将が聞いている・・・

おばさま 「夫婦かい??」
温泉女 「籍入ってないけど、夫婦みたいなものですー。」
おばさま 「あい、わかったよ。夫婦ね~。」

まぁ、違うけど、それでいいや・・・。

連絡先・電話番号も聞かれずに予約終了。
他に聞かれたことは、布団を使うか使わないか。
布団使うなら4,000円。使わないなら2,500円だったかな?
値段の説明も、素泊まりしかないことも一切説明無し。
まぁ、電話取ったのがお客さんだから説明の義務もないし、
こんな細かい説明を求める人は鹿の谷に行かなくていいというのが個人的な考えでして・・・。

当日、ちゃんと予約されているか不安になりながらも札幌から向かう。
北側の三国峠は雪崩の恐れがあるため封鎖さえている。
帯広側を回り、糠平温泉郷を通って幌加温泉へ。

鹿の谷の周辺は雪深く、国道から登る鹿の谷への山道も左右は高い雪の塀に覆われている。
建物が見えてやっと到着という辺りから路面の雪が消え、アスファルトが顔を出していた。
宿の前から温泉のシャワーを流して天然のロードヒーティングが敷かれていた。
こんなところでも源泉掛け流し・・・。鹿の谷、恐るべし。

宿の前に車を停めて中に入ると、エプロンをした従業員の叔母様がいた。

温泉女 「今日の宿泊予約をしている温泉女です~~」
おばさま 「はーい、いらっしゃーい。今、部屋に案内しますね~」

部屋は2階の2部屋。
2部屋・・・???
食事用の部屋と寝る部屋らしい。1部屋は布団が敷かれている。
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居間と寝室ですね。
おばさま、食事用の部屋がどの部屋で用意されているのかわからず、女将に聞きに行くという。

おばさま 「ここの人じゃないのさぁ~。私も客さんなの!」

と・・・。

食事用の部屋は寝室の向かい側にある部屋が用意されていて、そこの鍵をもらう。
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一階から、「部屋の暖房効いてるかしら~ 暖かくなってるかしら~」と、女将の心配する声が聞き取れる。

常連のおばさま(お客さん)が丁寧に調理場のことなどを説明してくれた。


次の日は糠平温泉の中村屋に行く予定なので、中村屋のチェックインまでどうやって時間を潰そうか考えている時に質問してみた。

温泉女 「ここのチェックアウトは何時なんですか~?」
おばさま 「ここはチェックインもチェックアウトも無いの。明日、夜までいてもいいんだよ~~」
と、笑いながら言う。
夜までいるなんて非常識なことはできないが、中村屋のチェックイン時間までゆっくりできることはわかった。
(中村屋のチェックインはこの時期は昼12時)

おばさま 「ここの常連さんは何でもやるの。電話取ったりお客さんをお部屋に案内したり、掃除までするんだよ~」

おいおい・・・本当かよ・・・。
と、思ってしまったが、確かに常連のお客さんが予約の電話を取り、部屋に案内をしてくれている。
困ったこととか足りないものがあったら何でも言ってね。とも言っていた。
常連さんがここまでやるという、この鹿の谷の魅力と女将の魅力は何にも代えられない温もり品質と言えるだろう。
札幌の生活では考えられないこの文化に非常に良い意味でショックを受けた。

落ち着いたところで早速お目当ての温泉に・・・。
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久しぶりの鹿の谷。
相変わらず大量の源泉が溢れ返っていました。
ここは内湯だけでも十分に満足できる。
外はもう暗く、露天風呂の道も雪で埋もれているようなので夜はこの3つの内湯をゆっくり味わった。

自炊専用の宿なので、夕飯は調理場で作る。
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きれいに整理整頓された調理場。鍋やフライパン、皿なども用意されているが、
自分たちはゆっくり温泉を楽しみたいので簡易的なものだけ買い出してきた。
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出来合いの鍋。他、カップラーメンや刺身などを用意してきた。
簡単なものだけで十分に楽しめます。

朝になり、露天風呂に行ってみようということになった。
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露天風呂までの道はかなり雪深く、かなり困難だった。
内湯から露天風呂に行く前のところにサンダルが置いてあり、それを履いて歩くようになっているようだ。
全裸で雪まみれになりながらも露天風呂に到着!
凍える寒さの中、露天風呂の熱さで体の芯まであたたま・・・・・・・・・れない!!
冷たっ!!!
水です。温いのではなく、冷たいです。
そりゃそうですよねぇ~。この寒さ。雪に埋もれてるままなんだから仕方ないです。

内湯で温まり、部屋に戻る途中、部屋に案内してくれた叔母様に会った。

おばさま 「露天風呂行ったか~い?ここ来る人は雪あってもみんな露天風呂入るからねぇ~」
温泉女 「行ってみたけど冷たかったからいいです~」
おばさま 「今、熱くするからね。もうちょっと待ってね。」
温泉女 「え・・・・・?」

しばらくして、もう1度内湯に入りに行った。
そして、露天風呂の方から重装備な防寒着を着たオバサマが内湯を通る。

「今、熱くしてるからね」 と・・・。
オバサマが重装備のまま。そして、こちらは2人とも全裸で風呂に入ったままここで雑談をしていた。
オバサマは音更から月に1度くらい来ている人だということ。
今回はいつもより長く、その日で11日目の宿泊だということ。
夜と朝、この内湯で見かけたオジサマは東京から週に1度(1泊)のペースで来る常連さんで、空港からレンタカーを借りてここまで通っているということ。
オバサマは農家やってたけど、今は息子に全部任せていること。
宿の手伝いをしている常連さんの食事は女将さんが作ってご馳走してくれること。
連泊だと安くなること・・・などなど、
徒然なるままに和気藹々と会話を楽しんだ。
そういえば内湯で見かけた東京のオジサマは今朝、外の除雪を手伝っていたなぁ~
オバサマが言うように、本当にみんなよく手伝いをしている。
自分達も何か手伝いたいがまだ新米(?)な自分達が、でしゃばりすぎるのも逆に気が引けるので、
部屋などを汚さないことと、ゴミは全部持ち帰ることを徹底するようにした。
次回は何か手伝いしたいな~ と思わせるこの素晴らしい雰囲気。ここでしか感じられない和みだと思います。

しばらくして、
そろそろ露天風呂いいかな・・・?
と思い、また雪の中を歩く。
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お・・・そろそろ良さそう~~
入ってみると、かなり温いが冷たくはない。
じっくりと鹿の谷の冬景色を楽しもう。

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本当に素晴らしい景色です。

温めの露天風呂に浸かっていると、オバサマがスコップを持って露天風呂と内湯の間を除雪し始めた。
外は嵐。吹雪になってきています。
吹雪にまみれながらオバサマはこの小道の除雪をしてお客さんが露天風呂まで通れるようにしている。
そして、
「まだ温いっしょ~」 と言い、お湯の弁をさらに開いてくれる。
お湯はまだ温いが、本当に温かなこのオバサマと宿の雰囲気を感じ取れる。

露天風呂にはゆっくりと1時間くらい浸かって、内湯でさらに温まってから出ようとしたところ、廊下の方から音更の叔母様と女将の声が。

女将 「大丈夫?温くないかしら~・・・」
オバサマ 「もう1時間くらい入ってるから温くて出れないのかもねぇ~・・・」

と、自分たちにとってはいつもと同じように長湯しているというだけなのに、女将はそのことを心配してくれていた。
さっさと出れよ! という空気は一切無い。

そういえば、「帰る時は早めに言ってね~ 女将さんがコーヒー入れてくれるから。」と、オバサマに言われていた。
帰る用意をして車に荷物を積み込んでいるときに部屋にコーヒーを持ってきてくれた。
もちろん、音更の叔母様が・・・お客さんなのになぁ~。
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しっかりと最後のコーヒーをいただいてから会計。
カウンター奥の女将の部屋では東京から来たオジサマと音更のオバサマが女将とコーヒーを飲みながらお茶会をしていた。

帰りは女将とオバサマが見送ってくださり、とても温かな気持ちで次の宿へと移動することができました。
いつまでもこのままで続けていって欲しいという気持ちでいっぱいです。
本当に素晴らしい鹿の谷。
また近いうちにぜひ行きたいと強く思います。


個人的評価
★★★★★


幌加温泉 鹿の谷
北海道河東郡上士幌町幌加番外地
01564-4-2163
日帰り入浴 500円 糠平湯めぐり手形使用可 (8:00~21:00)
宿泊は自炊(素泊まり)のみ。 1人4,000円だが、布団を使わない場合1人2,500円。
連泊割引有。